ヒグチユウコのさんの描く猫が好きです。
雑誌ELLEで紹介されていた町田康著、ヒグチユウコの猫のエルはを読了。文庫本で購入したのですが、挿絵はカラー。紙質もしっかりしていて得した気分になりました。
猫のエルはあらすじ
その表紙からメルヘンやファンタジーなお話を想像していると裏切られる、残酷でもありシュールな短編小説集です。
ここは不思議な、猫の世界。
ふてぶてしくて、わがままで、かわいくて――猫を愛する作家によるぜいたくな一冊!
共に暮らす猫とねずみ。
冬に備えておいしい油をとっておきました。
しかし、猫がひとりでなめてしまい、ねずみは怒ります。
言い訳を探す猫は、王子さまが白い馬に乗ってやってくるのを見つけ――(「猫とねずみのともぐらし」)。猫を愛する著者による、珠玉の作品集。
単行本の扉絵・挿画をフルカラーで収録。
猫好きなら思わず頷く、猫表現
1話目の諧和会議は人間が滅亡し、動物たちが言葉を使えるようになった世界のお話。猿も犬も、鳥も毛虫も言葉で会議を行なっています。しかし、猫さんだけは言葉を理解しているのかしていないのか。会議には参加せず、いつも通り生活を送っています。
廃墟となった家の心地良いソファで寛いだり、小動物で遊んでみたと思ったらプイッとどこかに行ったり。一つ一つが映像で蘇るような表現。「猫ってやつはそういうやつだよね」って。もうそれが可愛くてリアルで、不思議な世界の話が現実のように感じてくるのです。
猫と人間が入れ替わった世界
3話目のココアは人間と猫が入れ替わった世界。突然猫ほどの大きさになってしまった人間。猫に見つからないように残飯漁り、ビクビクしながら寝る。野良猫さんはいつもこんな生活をしているのかと思うと胸が苦しくなります。
ネタバレになるので詳細は書きませんが、ラストは心がじんわり暖かくなります。
最近ビジネス書やお金の本、自己啓発系ばかりを読んでいたので新鮮で、心が豊かになる本でした。