こんにちは、あいしゃです。
物書きを真剣に目指している時期がありました。そのきっかけとなったのが、中学生の頃に読んだ山田詠美著、放課後の音符(キイノート)。中高生の恋愛を題材にしている短編小説なんのですが、当時の私にとっては文章が官能的でドキドキしながら読んでいた記憶があります。
その後、山田詠美さんの新作が出るたびに購入していたのですが、歳を重ねるごとに疎遠に。
今年に入って、山田詠美さん原作のA2ZがAmazonPrimeのオリジナルドラマで配信されまいた。主役は深田恭子さん。懐かしくなり原作を図書館で借りてきました。
内容
Amazonより
恋は知らない時間を連れてくる。
大人の極上の恋愛小説。読売文学賞受賞の傑作。文芸編集者・夏美は、年下の郵便局員・成生と恋に落ちた。同業者の夫・一浩は恋人の存在を打ち明ける。恋と結婚、仕事への情熱。あるべき男女関係をぶち壊しているように思われるかもしれないが、今の私たちには、これが形――。AからZまでの二十六文字にこめられた、大人の恋のすべて。読売文学賞受賞作。
ざっくり3行にまとめると。
若い女と不倫した夫と
若い男と不倫した妻が
やっぱりお前がいいと元サヤにおさまる話。
こんなどこにでもありそうでなさそうな大人の不倫話が、山田詠美の手にかかると切なく美しい恋愛小説になる。言葉の力ってすごい。
本筋はずれて、心に残った言葉
主人公の女編集者から出る言葉は、山田詠美フィルターがかかっていることもあり美しく繊細で官能的。恋愛現役世代であれば、参考書ですか?と言われるくらい付箋とマーカーでいっぱいになっていたことでしょう。
しかし、今はしばらく恋愛をお休み中。その上、年下に興味のない私には感情移入が難しい作品でした。
そこで、別の視点から心に残った言葉を紹介したいと思います。
才能なんて、そこにあるだけじゃ、ちっとも役に立たない。私は、それを駆使したものにしか興味がないのだ。
「ほくの才能に惚れた、なんて言わないでね」
新人作家がこう主人公に言ったときの言葉。
一浩は、こざかしい文学論が大嫌いだった。そんなこと語っている暇があったらあったら書けよ、と思う。包丁は研がなきゃ切れない。おれが新人に望むのは、それを知ること。
主人公の夫、一浩が新人女性作家を批判したときの言葉。
成功をしている人をみると「あの人は才能があるから」「才能を伸ばす環境があったから」と、その人の努力から目を背ける癖があった私は、こういう言葉に弱い。たくさん読んできた自己啓発本にも、散々書かれてきていることだけど、物語のセリフで語られる方が心に残ります。
感想まとめ
本書は恋愛現役世代に山田詠美さんの小説に夢中になった方(自分のこと)には懐かしく感じる作品です。昔読んだあの小説の、あの子が大人になったのが夏美(主人公)なんだろうななんて思いながらページを進めました。
そして、現在不倫真っ只中の若い女の子には辛くなるような内容です。